Q.遺言を残したほうがよい場合

 遺言を残した方が良いということをよく聞きますが、どのような場合に遺言を残した方が良いのか、具体的に教えて下さい。

A.

(遺言の意味)

 自分が死んだ場合に、相続人の間で遺産争いが生じないように、自分の意思をきちんと残しておくのが遺言です。遺言には、全文を自分が書く自筆証書遺言と公証人が作成する公正証書遺言がありますが、争いを残さないためには公証役場で公正証書遺言を作成するのが良いでしょう。

(遺産の争いが予想される場合)

 相続人らの仲が悪く、自分が死んだ後の遺産の分割について、スムーズな話し合いが期待できない場合には、予め遺言を残しておくと良いでしょう。遺産の分割に関して具体的な意見を書いたり、分割に関する希望を述べておくと、その意思が尊重されることになります。

(子のいない夫婦)

 子がいない場合に夫が死ねば、夫の財産は全て妻が相続できると考えがちですが、これは誤りです。夫の両親が生存していると両親が3分の1、両親が死亡していると夫の兄弟姉妹が4分の1の相続権を持ちます。夫の兄弟姉妹が先に死んでも、その子の甥・姪が相続人になります。夫が死んだ場合、この人たちの同意がないと預金も下ろせないし、不動産の登記も自分名義にできません。しかし、全部の遺産を妻に相続させる旨の遺言があれば、夫の親や兄弟姉妹の同意なしに登記ができるし、預金も下ろせます。

(長男の嫁に残したい場合)

 長男が先に死んで、その妻が亡夫の両親の面倒を見る場合があります。この場合に夫の両親と長男の嫁が養子縁組をすれば別ですが、そうでない場合には、夫の両親が死んでも長男の嫁は相続人でないので相続権がありません。子どもがいれば、亡夫の権利を子が代襲相続しますが、子どもがいない場合には、亡夫の兄弟姉妹が相続します。これでは長男の嫁がかわいそうです。このような場合にこそ、遺言で嫁に相応の財産を遺贈しておくとよいでしょう。

(相続人が全くいない場合)

 その人に妻・子・親・兄弟姉妹・甥・姪といった相続人がいない場合には、その遺産は原則として国庫に帰属します。生前にお世話になった方や、親しい人に財産を贈与したり、学校や社会福祉法人に寄付したいという場合には、遺言を書いておくことです。遺言に遺言執行者を指定しておくと、その人が遺言の内容にしたがって遺産を配分します。

(行方不明の相続人がいる場合)

 相続人はいるが、その内の誰かの行方がわからない場合にには、遺産分割の手続きが面倒です。しかし例えば、遺言で全財産を長男に相続させる旨の遺言を残しておくと、他の相続人の印鑑なしで相続登記ができますので便利です。

(相続人に判断力のない病人がいる場合)

 まれですが、相続人の中に精神病などのために判断力のない人がいる場合があります。この場合には、遺産分割の協議をするのに裁判所に後見人の選任を求める必要がありますのでなかなか面倒です。このような場合に、遺言があれば、この遺言で預金の払い戻しや登記手続ができます。